糖尿病の治療|永島メディカルクリニック|さいたま市見沼区の内科、糖尿病・内分泌内科

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糖尿病の治療

糖尿病の治療|永島メディカルクリニック|さいたま市見沼区の内科、糖尿病・内分泌内科

運動療法と食事療法

運動療法と食事療法

糖尿病の治療では、食事療法と運動療法は基本となる治療法です。糖尿病治療において大切なことは適切な治療を継続することです。無理なく続けていくことが重要ですから、ライフスタイルや好みなどに合わせてご自分に適した内容にすることが重要です。糖尿病の初期段階から適切な食事や運動を行って節制していくことは、糖尿病の進行リスクや合併症の併発リスク防止にもつながります。

食事療法

食事療法は、糖尿病患者さんにとって最も基本的な治療法です。糖尿病または糖尿病の疑いがあると診断されたときから開始します。食事療法によって摂取エネルギー量を適正に保ち、体重をコントロールすることによりインスリンの効きや分泌能力が改善します。
食事療法を適切に行うことにより糖尿病の状態は良好になり、薬の量を減らすことができたりします。

食事療法のポイント

1)適正なエネルギー量の食事を心がける

1日の活動に必要なエネルギー量を確保し、適正な体重をコントロールするために過剰摂取にならないようにしましょう。年齢、身長・体重、性別、生活習慣・仕事(デスクワークか力仕事か)などによって必要なエネルギー量は異なります。医師の指示に従って、1日の適正なエネルギー量に沿った食事を心がけましょう。

1日の適正エネルギー摂取量の目安は下記の式で求められます。

エネルギー摂取量(kcal)=身体活動量※1(kcal)×標準体重※2(kg)

※1:身体活動量の目安は下記の通りです。
デスクワークや軽労作が中心の仕事、主婦の方など 25〜30kcal
立ち仕事が多い仕事の方など 30〜35kcal
力仕事が多い仕事の方など 35kcal〜
※2:標準体重(kg)身長(m)×身長(m)×22
詳細は、問診などにより主治医が決定しますのでお気軽に当院へお越しください。

2)1日3食、規則正しい食事を心がける

食事をすれば血糖値は上がります。一日に1回や2回しか食べない、不規則な時間に食事を摂ったりするなどすると不規則に血糖値が上がることで膵臓に負担がかかり、糖尿病は悪化してしまいます。規則正しく、3食均等に食べるように心がけましょう。また、ゆっくり食事をすることで血糖値は上がりにくくなりますので、ゆっくりよく噛んで食べることを意識してみてください。一方、早食いは肥満や糖尿病になりやすい傾向があることがわかっています。

3)栄養バランスに気を付ける

主食・主菜・副菜で、栄養のバランスのいい食事を心がけましょう。血糖値に影響をおよぼす糖質の量を意識することが重要です。主食とは体のエネルギー源となる炭水化物を多く含む食品です。具体的には白米、パン、パスタ、うどん、じゃがいもなどです。主菜とは、筋肉や血液となるたんぱく質を多く含む食品です。具体的には肉、魚、大豆・大豆製品、卵などです。
副菜とは、体の調子を整えるビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含む食品です。具体的には野菜、しめじ、こんにゃく、わかめなどです。
また食べる順番も大切で、食物繊維を多く含む野菜サラダなどを先に食べ、その後に米などの主食を食べると、食後の血糖値の上昇は少なくなるので、意識してみてください。

運動療法

運動療法は、糖尿病患者にとって大変重要な役割を果たします。食後に運動を行うこと食事で摂取したブドウ糖や脂肪酸が積極的に利用され、効果的に血糖値が下がります。運動療法は安全性を確保しながら、楽しく続けられることが大切です。運動には、短距離走や筋肉トレーニング(レジスタンス運動)などの無酸素運動と、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動があります。一般的に糖尿病の運動療法に適しているのは有酸素運動と言われていますが、筋トレも同時に行うことでより効果的にブドウ糖や脂肪酸の利用を促すことができます。

効果的な有酸素運動

運動量は週3回、1回20分〜40分程度が理想的と言われています。運動療法で最も重要なのは継続することなので、無理なく楽しく続けられる運動習慣を上手に生活の中に取り入れることを意識しましょう。

オススメの有酸素運動の例
  • ウォーキング
  • ジョギング
  • 自転車
  • 水泳

運動療法の注意点

運動は正しい方法で行わないと逆効果を招くこともありますので注意が必要です。たとえウォーキングでも間違った方法でおこなうと、場合によっては血糖値が上がってしまって糖尿病を悪化させたり、心臓や血管に負担をかけて心筋梗塞を起こす恐れもあります。また、やみくもにハードな運動をしても、かえって逆効果です。運動禁止あるいは制限が必要なケースもあります。運動を始める前は医師の指導をきちんと受けましょう。

下記は、運動療法を行う際の注意点や意識すべき点になります。

  • 準備運動・整理運動は必ず行いましょう
  • 最初は軽い運動からはじめ、徐々に運動量を増やしましょう
  • その日の体調に合わせて、無理のない範囲で運動しましょう
  • 楽しく継続できる運動を選びましょう
  • 適宜、運動前後の血糖値を測りましょう

インスリン療法

インスリンとは

インスリンはすい臓から分泌されるホルモンの一種で、糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きを持っています。インスリンの働きが悪くなったり分泌される量が少なくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまうのが糖尿病です。

インスリン療法とは

インスリン療法とは、患者さん自身がインスリンを自己注射で補う治療法です。1型糖尿病には欠かせない治療法ですが、以前までのインスリン療法は事前に入院が必要とされるなど開始へのハードルがかなり高かったため、2型糖尿病の場合は他の治療法で血糖値が下がらない際の最後の手段とされていました。インスリン治療というと患者さんによってはどうしてもやりたくないと思う方もいると思いますが、2型糖尿病の患者さんでも、より早い段階からインスリン治療を行うことはしばしばあります。これは血糖値を改善することで、高血糖毒性(血糖値が高いこと自体が血糖値を下げにくくしてしまう悪循環のこと)の解除によりすい臓を休ませることが出来るためです。

インスリン療法が必要になるケース

糖尿病では、インスリンの作用が十分でないために血糖が筋肉、脂肪組織や肝臓へ移動せず、血糖値が高いままになっている状態が起こっています。
「インスリンの作用が十分でない状態」は、以下の2つの理由によって起こります。

  1. インスリンの分泌量が少ない状態(インスリン依存が高い状態)
  2. インスリンが効きにくくなっている状態(インスリン抵抗性が高い状態)

①の場合にはインスリン治療は必須です。
②の場合はインスリン治療が必須とは限りません。しかし、すい臓を休ませることで再びインスリンを分泌する能力を取り戻すことを目的として一時的にインスリン治療を行う場合もあります。

インスリン治療が必要となる方

  • 1型糖尿病の方(インスリン依存状態)
  • 糖尿病を合併した妊婦、妊娠糖尿病の方(胎児に安全性が確認された内服薬はほとんどなく、細かい血糖コントロールが必要となるため)
  • 内服薬のみでの血糖コントロールの維持が難しくなった2型糖尿病の方
  • 肝障害、腎障害などを合併している方(肝障害や腎障害に安全性が確認された内服薬はほとんどないため)
  • 高血糖によって昏睡など、緊急で血糖値を下げる必要がある方

インスリン療法の具体的な手法について

  • パンフレットや動画などでインスリンの注射の方法をお教えします。
  • 1日1回から開始するなど、患者さんのご都合を考えながら開始します。
  • 極端な高血糖や低血糖にならないように少量から開始します。
  • インスリンに慣れてきたら、自宅での血糖測定の方法をお教えします。指先の血液を測定する方法以外に、患者さんに応じて腕や下腹部に装着するタイプの血糖測定器をご用意しております。

内服薬と注射のGLP-1受容体作動薬の治療

糖尿病と治療薬

糖尿病の治療で用いられる薬の使用方法は、内服薬と注射薬に分かれます。
内服薬には、膵臓からインスリンを出しやすくして血糖を下げる薬(インスリン分泌促進系)とインスリンを出しやすくせずに血糖を下げる薬(インスリン分泌非促進系)の2種類に分けられます。また最近ではこれら2つの特徴を併せ持つ薬も登場しています。
注射薬にはインスリンと、インスリンではないGLP-1受容体作動薬があります。インスリン治療については他のページをご参照ください。GLP-1受容体作動薬は前述のインスリン分泌促進系に分類されます。
どれも血糖値を下げるという目的は同じですが、患者さんの病態に合わせて選択されます。単体での使用ではなく複数を併用する場合や、内服薬と注射薬が併用されるような場合もあります。そのため、どのような作用や副作用があるのか患者さん自身も理解しておくことが大切です。ここでは内服薬とインスリンではない注射薬であるGLP-1受容体作動薬について説明します。現在のお薬が合っていないのではと不安な気持ちをお持ちの方、糖尿病のお薬について詳しく知りたい方は是非お気軽に当院までご相談ください。

インスリンを出しやすくする薬(インスリン分泌促進系)

糖尿病の原因として、血糖値を下げるインスリンの分泌が減少していることが考えられます。インスリンが分泌されやすくなる薬を内服することで、インスリンの分泌量の増大を図ります。インスリンを出しやすくする薬には、スルホニル尿素薬(SU薬)・グリニド薬・DPP-4阻害薬、GLP-1受動態作動薬、イメグリミンがあります。

スルホニル尿素(SU)薬

膵臓のβ(ベータ)細胞に働きかけることでインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬です。膵臓にインスリンを分泌する作用がある患者さんに用いられます。空腹時の血糖値を良く下げるという特徴があるため、内服後に食事をしない場合に服用すれば低血糖症を引き起こす恐れがあります。SU薬は血糖値に関係なくインスリン分泌を促すので低血糖のリスクが高いことが挙げられます。また体重増加しやすいという副作用があるので、体重が増えすぎないように注意する必要があります。

グリニド薬

SU薬と同様に、膵臓のβ細胞に働きかけてインスリン分泌を促進する薬です。SU薬より効果が早く現れ、作用時間は短くなっています。速効型インスリン分泌促進薬と分類されます。このため食事の直前に服用するようにすれば食事による高血糖を抑えることができるため、食後の血糖値が高い患者さんに適しています。副作用はSU薬と同様に血糖値に関係なくインスリン分泌を促すので低血糖のリスクがあります。

DPP-4阻害薬

血糖値が高くなるとインスリン分泌を促進させる働きのあるインクレチンというホルモンを分解する酵素であるDPP-4を抑制する薬です。DPP-4を抑制することでインクレチンの働きを高め、インスリン分泌を促します。また、血糖値を上げる作用のあるグルゴンというホルモンの分泌を抑制する作用もあり、血糖値を下げる役割もあります。
他のインスリン分泌促進薬とは異なり、血糖に応じてインスリン分泌を促進するため、低血糖や体重増加が起こりにくい特徴があります。ただし、SU薬やインスリン注射と併用すると低血糖を起こすことがあるので注意が必要です。

GLP-1受動態作動薬(注射薬も含まれます)

インスリン分泌を促進させるはたらきをもつインクレチンと同様の作用をもつ薬です。DPP4阻害薬と同様に、インスリン分泌促進と、グルカゴンというホルモンを抑制する作用がありますが、DPP4阻害薬よりも強力です。これに加えて胃や脳に働くことで食欲を抑制する作用があります。これまで注射のGLP-1受容体作動薬が主でした。最近では週1回注射するものが主流となっています。そして2021年から内服薬でもGLP-1受動態作動薬が登場しました。これは食事の影響を受けやすいために空腹である、朝の起床時に服用することが重要です。血糖に応じてインスリン分泌を促進するため、低血糖が起こりにくく、食欲抑制効果があり体重が減少しやすいという特徴があります。ただし、SU薬やインスリン注射と併用すると低血糖を起こすことがあるので注意が必要です。

イメグリミン

2021年に登場した新しい薬です。いろいろな細胞のなかのミトコンドリアという器官の機能を改善します。特に膵β細胞のミトコンドリア機能を改善してインスリン分泌を促進したり、膵β細胞を守ったりします。また筋細胞のミトコンドリアに作用して血糖の取り込みを促進したり、肝細胞のミトコンドリアに作用して糖がつくられること(糖新生)を抑制したりすることで、後述するインスリン分泌非促進系薬の作用を併せもっています。DPP4阻害薬やGLP1受容体作動薬と同様に血糖に応じてインスリン分泌を促進するため、低血糖や体重増加が起こりにくい特徴があります。ただし、SU薬やインスリン注射と併用すると低血糖を起こすことがあるので注意が必要です。

インスリンを出しやすくせずに血糖を下げる薬(インスリン分泌非促進系)

インスリンを出しやすくせずに血糖を下げる薬は、低血糖になりにくいという大きな利点があります。糖尿病の方は血糖値をコントロールするインスリンの働きが弱まっていることが多いため、すでに体内にあるインスリンを効きやすくする薬のほか、糖分の腸からの吸収や、糖分の尿への排出を調整することで血糖値をコントロールする薬があります。

ビグアナイド薬

肝臓では乳酸から糖が作られており、これを糖新生と言います。ビグアナイド薬は糖新生を抑えることで血糖を下げます。他にも消化管からの糖の吸収を抑えたり、筋肉などでのインスリンの働きを強めることによっても血糖を下げます。単体で服用すれば低血糖を起こす危険は低く、肥満の方や2型糖尿病の最初の治療として用いられることが多いです。ただし、ビグアナイド薬はアルコールを大量に飲む方や腎機能、肝機能、心機能が低下している方には使用出来ないので注意が必要です。

チアゾリジン薬

チアゾリジン薬はインスリン抵抗性改善薬とも呼ばれ、筋肉や脂肪で行われる糖の代謝を促進することでインスリンの効きを良くする薬です。ほかの薬と併用しなければ低血糖を起こす危険性が低いことも特徴ですが、体重増加やむくみが副作用として挙げられます。そのため、食事療法や運動療法を行いながら使用する必要があります。

α(アルファ)-グルコシダーゼ阻害薬

食事に含まれるでんぷんなどの炭水化物は、そのままの状態では消化管から吸収できないため、唾液や消化管の中の酵素によってブドウ糖に分解されて吸収されます。α-グルコシダーゼは、この時に働く酵素の一つです。
α-グルコシダーゼ阻害薬は消化管からの糖の吸収を遅らせることで血糖を下げる飲み薬で、食後の血糖値の上昇を緩やかにします。
食前の血糖値は高くなく、食後に血糖値が上昇しやすい患者さんに用いられる薬です。単体での使用は低血糖を起こしにくいという特徴もあります。
しかし、もし他の薬と併用して低血糖が起きた場合は、砂糖では低血糖を改善できないため(ブドウ糖に分解されず吸収されない)、ブドウ糖を服用してください。

SGLT2阻害薬

血液中に含まれるブドウ糖は、腎臓の中の糸球体で血液から原尿(尿のもととなる液)の中に出た後、尿細管で取り込まれて血液に戻ります。その結果、健康な人では尿の中に糖は出てきません。このブドウ糖の取り込みで働いているのがSGLT2というたんぱく質です。
SGLT2阻害薬はSGLT2の働きを抑え、尿細管でブドウ糖が血液にもどらないようにしてブドウ糖を尿に排泄させ、これにより血糖が下がります。糖とともに水分も排泄されるため、尿の量が増えるのが特徴です。脱水を起こさないように注意しましょう。

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